contents目次
-
インプラントの治療法 その1
インプラントの治療法のいろいろについて書いてみたいと思います。
今日はその1として、1回法と2回法のはなしです。
インプラントというのは骨の中にインプラントと呼ばれる人工の歯の根をうめて、その上にかぶせものを作る治療です。この手術法の中に一回法と2回法と言う大きく分けて2つの方法があります。
1回法と言うのは手術の時に骨の中にインプラントを入れると同時に歯茎から一部が突き出た状態で手術を終えます。そのため、インプラントが骨にくっついたら、歯茎から出ている部分の土台を変えるだけで型をとってかぶせものを作って行く事ができます。
これに対し、2回法と言うのはいったんインプラント自体を完全に歯茎の下に埋めて縫い合わせてしまいますので、インプラントが骨にくっついたあともう一度歯茎を開いて土台をつける手術が必要になります。この方法はどちらが良いという訳でなく、たとえば骨の移植を大規模にする場合は2回法でないと治療できないのでおのずと2回法になり、逆に骨がしっかりしているケースでは、1回法の方が患者さんにとって負担は少なくなります。
最近では抜歯即時でしかも一回法で治療という先生も増えてきていますが、必ずしもそれがいつもできる訳でなく、症例によって使い分けている場合が多いようです。
以前はいつも1回法、いつも2回法というふうにインプラントのシステムによって分けていた先生もいますが、現状どちらの手術法にも対応しているインプラントシステムが多いので、今は症例によって使い分ける医院が多いと思います。
2012年02月09日
-
インプラントの利点の話
NHKでインプラントの医療事故について放送があったため、最近来院される患者様はみな一様にインプラント治療を受けたいけど不安が強いとおっしゃいます。
でもブログにもいろいろ書いたんですが、インプラント治療そのもののリスクは、他の歯科治療と比べて特段高い訳ではありません。
一般的なインプラント治療は、むしろ治療が規格化されているだけあって親知らずの抜歯や、その移植とくらべてむしろ安全度は高いと思います。
親知らずの抜歯などは、かなり神経に近い部位を触りますし、根っこのはしが神経をまたいでいる事もあります。それで、手術後に神経の麻痺も起きる確率はインプラント治療より高いと思いますが、それでもいままで親知らずの抜歯についてこのように報道された事はありません。
いつも言うのですが、外科処置をする限りは全くリスクがないという事はありません。つまり、歯科は予防処置以外はすべて外科処置になるので、少しでもリスクがある事を避けるというのであれば歯科治療は受ける事ができません。
でも、ほとんど起きる事の無いリスクは普段あまり考えない事の方が多いです。たとえば、自動車事故では年間何万人ものひとを失いますが、だれも自動車事故で自分が死ぬとは思っていません(思っていたらこれほど町が自動車でいっぱいってことはありません)
歯科治療におけるリスクは実際は非常に小さく、インプラント治療に関しても、治療のリスクより得られるベネフィットの方が遥かに大きいです。
誤った報道に惑わされる事無く安心して治療を受けていただきたいとい心からそう思います。それで、インプラントのメリットですが、もっとも重要なの利点は、部分入れ歯を避ける事ができるという事です。
インプラントを使用しないと部分入れ歯しか方法がない、というかたでも、インプラントで部分入れ歯を避ける事ができ、そのことで、普段取り外しに気を使わなくてもい、何でも食べられる、見た目もきれい、残った歯にも負担をかけない。などあげればきりがないほど利点があります。
いったんインプラントになれてしまったらどうしても部分入れ歯は使えなくなると思います。それほど部分入れ歯にくらべてインプラント治療は快適です。
もちろんそれ以外にもいろいろ利点はありますが、やはり基本はインプラントで部分入れ歯から解放される、これが一番の利点でしょう。2012年02月06日
-
インプラントの種類の話
インプラントの種類は毎年のようにあたらしいインプラントが発売されるため、はっきり言ってかなり頻繁に新しい情報を更新しないと、意味がありません。
ここでは現時点での新しい情報と言う事で書かせてもらいます。
インプラントのメーカーとしては、いろいろなものがありますが、正直現在では単純なケース、つまり骨が十分あって、下あごの中間欠損(前にも後にも歯が残っているケースです)だとどのインプラントでもほとんど問題なく経過します。
特に気にしなくても多くのインプラントで長期的に周囲の骨も安定し、トラブルも無く10年以上過ごす事がほとんどです。 問題になるのは、それが多数歯欠損(多くの歯を失っているケースです)とか、骨が薄くて骨の移植が必要なケース、それらの組合わさったケースなど治療が難しいケースの場合です。
現状世界的にはチタン加工表面のインプラントが標準とされていて、シェアのほとんどはチタン加工表面のインプラントです。
ただ、日本ではハイドロキシアパタイトを表面に焼き付けたいわゆるHAインプラント(多くがzimmerカルシテックインプラントです)がかなりのシェアを占めています。
当院でも、チタン表面のインプラントと同時に、zimmmerカルシテック社とバイオホライズンズ社のHAインプラントを使用していますが、カルシテックで言えば他のチタンインプラントより難症例における治療成績は良好の様に思います。(バイオホライズンズはまだ導入したばかりで結果がでていません)
海外で多くのシェアをもつノーベルバイオケアや、ストローマン、zimmer(カルシテック以外のものもあります)、アストラテック、バイオホライズンズなどのインプラントも、それぞれ特徴があって、症例によっては有利なケースもあるのでしょうけど、現状当院では手術のしやすさ、補綴のバリエーション、補綴のやりやすさ、のバランスから、カルシテック、アストラテック、バイオホライズンズ、ノーベルバイオケアをケースによって使い分けた上で、さらに価格の安さを追求する患者様には国産のアルファタイトと言うインプラントを使用しています。国産インプラントの問題点はやはり長期的に使われた事がないので長期予後が判断できないという事や、年間の消費されるインプラントの本数が有名メーカーなどと比べると数千分の1とか数万分の1とかのレベルだと想像されるので、やはり十分なデータがあるとは言えないという事ですね。
2012年01月31日